新着情報

カイエン 水漏れ修理の費用について
2019.01.31

先日投稿したカイエンの水漏れ修理の記事について、費用に関する質問がございました。 

水漏れの箇所によって交換部品が大きく異なるので、工賃については修理箇所によって相違が発生するので一概には言えません。この事例においてはパーツ代で約75,000円かかっています。 

 

カイエン 厄介な水漏れ-2
2019.01.29

前回(https://ameblo.jp/muratatune/entry-12435571946.html)に引き続き、カイエンの水漏れの修理です。 

 

Vバンク内の水漏れを修理するため、インテーク周りの部品を外します。 

 

 

鎮座しているインテークマニホールドを取り外すとVバンクの底が見えます。 

 

 

当初の目論見どおり、Vバンク内に水が溜まっていました。さらに分解し配管から漏れがないか確認します。 

 

 

3本の配管が伸びている部品はサーモスタットハウジングです。配管のつなぎ目からクーラントが漏れているため取り外して点検します。 

 

 

赤丸の部分が漏れている箇所です。 

この部分はOリングでシーリングされていますが、アルミニウムで作られているハウジングが腐食することによって隙間ができ、水漏れが発生することが多々あります。この車両もそれが原因か確かめるため、さらに分解します。 

 

 

ご覧の通り腐食しています。 

アルミは腐食しないとおっしゃる方もいますがそれは間違いです。このように見るも無残な姿になっています。 

 

 

アルミニウム製のハウジングに付いていた3本のプラスチック製のパイピングを取り外すと、先端部が腐食によりボロボロになっています。もはやシーリングの役割を果たしていません。

 

 

対策部品はハウジングからパイピングまで全てアルミニウム製に変更されていました。材質が変更されたことで、腐食した継ぎ目に隙間ができることがなくなり、水漏れが発生することはないでしょう。 

このカイエンは2009年式で、発売初期のモデルです。初期ロットでは設計上の不具合による故障が多々あります。点検を行うことで、対策部品が存在するか確認することもできますのでお気軽にお問い合わせください。 

 

 

 

 

 

 

 

 

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カイエン 厄介な水漏れ
2019.01.26

先日入庫したカイエンのアンダーカバーを外してみると、水漏れの跡がありました。


どこから漏れているのでしょうか。
ロアアームを伝いサブフレーム、ミッションケースのあたりまで水がたれてきています。



ロアアームの近くまで垂れているクーラントの跡を辿ると、リザーバータンクにたどり着きました。タンクのつなぎ目からクーラントが漏れています。


リザーバータンクだけでなく、他のところからも漏れているようなので、更に点検をすると、エンジンのVバンク内のインテークマニホールドの下のヒーター冷却水チューブのジョイント部分から漏れていることが判明しました。チューブ自体はプラスチック製で、多分同様の問題が発生していたためか、アルミの一体式に変更された対策部品が送られていました。

次回に続きます。






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ナロー クランクケース加工
2019.01.23

先日の投稿に引き続き、ナローのエンジンオーバーホールについての紹介です。 

ナローのエンジンはマグネシウム合金製であるため、大きな熱ひずみが発生し、特にクランクベアリングの真円度に大きな影響を及ぼします。 

そこでまず、クランクケースを組み合わせた状態でクランクベアリング部分を修正し真円度を改善します。こうする事で、 クランクシャフトに無理な力が加わらなくなり摺動抵抗を減らすことができます。 

エンジンの摺動抵抗は出力に大きく影響します。クランクシャフトを手で回してみるとわかりますが、全ての部品を組み立てた状態だとかなり回転が重くなります。この抵抗をいかに減らすかが技術と経験から来る腕の見せどころです。 

 

続いて、クランクケース内のバリを取り除きます。クランクケースは鋳造で作られています。鋳造とは溶かした金属を型に流し込むことで形を成形する加工方法です。たい焼きの作り方をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。 

製造時に型からはみ出した部分で材料を加工する際に発生した突起部をバリといいます。たい焼きに例えると合わせ目の部分に見える耳のことです。特に、機械加工の時に出たバリは脆く、エンジンが回転している際に取れることがあります。バリがとれるとメタルが傷つき、エンジンブローを引き起こす可能性があります。 

ナローのクランクケースは、マグネシウム合金製ということもあり塗装する必要があることから、製造過程で比較的バリの処理は施されています。 

 

 

それでも完全に取り除かれていないバリを赤丸で囲みました。 

メタルとは写真の青丸で囲った部分に取り付けられる半月状の板のことで、軸受の役割を果たします。 

 

 

リューターを用いて丁寧にバリを取り除きます。 

 

 

赤丸の部分はシリンダーの合わせ面です。この部分はリューターで傷を付けてしまうとオイル漏れを引き起こしてしまうため、バリ取りの際は特に慎重な作業が要求されます。文字で説明すると、単純かつ簡単に思われがちですが、慎重さと豊富な経験そして忍耐を必要とする作業です。慣れていない人が携わるとついうっかり傷をつけてしまう危険性が高い作業です。 

 

 

バリ取り作業が完了したクランクケースです。 

見事な仕上がりを眺めていると、200時間以上費やしたバリ取りの苦労が報いられ、愛おしささえも感じられ、完成した暁の火入れが今から楽しみです。 

 

 

 

 

 

 

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ナローEg組み立て開始
2019.01.20

ナローのエンジンの組み立てについて数回に渡って紹介します。 

 

 

ご存知の方も多いと思いますが、このクランクケースはマグネシウム合金製です。純アルミニウムの密度が約2.7g/cm^3であるのに対し、混ぜる金属によって異なりますが一般的なマグネシウム合金の密度は約1.7g/cm^3ほどです。ナローのクランクケースの場合は40%も軽い材料を用いることで非常に軽いクランクケースに仕上がっています。 

改めて考えてみると、マグネシウムのクランクケースは非常に珍しいです。市販車に搭載されるエンジンでは、ポルシェのほかにBMWのN52型以外思い当たりません。 

BMWの場合はアルミニウムとマグネシウム合金の複合コンポジット構造なので、同じくくりにしていいのかは不明です。ナローのクランクケースは全てマグネシウム合金で作られています。マグネシウムは熱によるひずみが大きいため、BMWの場合、クランクベアリングの部分はアルミニウムが用いられています。(熱ひずみについてはエンジンの部品において大きく関与する現象なので、記事は後日投稿します。) 

この事実のみを聞くと、「なんだ、ポルシェって大したことないのね。」と思う人がいるかもしれません。ここで生産されていた年代を考えてみます。BMWのN52型エンジンを搭載した車両が生産されたのは2004年で、それに対しナローが生産されたのは1963年です。この時代にマグネシウム合金のクランクケースを製造できたのがポルシェのスゴイところではないでしょうか。 

 

これらの点を踏まえ、エンジンオーバーホールを行っていますが、前述のとおり、熱ひずみや腐食による影響が大きいことから、組み立てる前の正確な修正加工を必要とするため、高度な技術と長い経験が必要です。弊社ではこれまでに数多くの空冷エンジンやナローのオーバーホールをしてきた経験を活かし、車両のポテンシャルを引き出すノウハウを培ってきました。 

ナローポルシェは、近年海外への流出が顕著で、数年前と比較して飛躍的に希少価値が上がっています。その点を鑑みると、ある程度高いオーバーホール費用を払ってもクルマのコンディションを維持することは意義のあることではないかと考えています。 

 

是非お気軽にご相談下さい。 

 

 

 

 

 

 

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